これから運送業を開始しようとお考えの方もいらっしゃるでしょう。しかし、実際にどのような流れで開始に至るのか、ご存じないという方は多いかと思います。簡単に業務開始が出来るわけではなく、さまざまな対応や準備をしなければなりません。
そこで今回は、運送業許可の取得から業務開始までの流れについてご紹介いたします。ぜひ参考にしてください。
1. 運送業許可の取得から業務開始までの流れ
準備〜審査まで運商業の許可の取得から業務を実際に開始するまでの流れは、まずは事前におこなう準備から審査までに関して、以下のとおりとなります。
1-1. 運送業許可の要件クリアと申請書類の作成
運送業の許可を得るためには、設けられている要件をクリアしなければなりません。自己資金の確保や運行管理者をはじめとする最低限用意しなければいけない人員の確保などが挙げられます。 同時に申請書類の作成も必要です。必要書類も多数存在していますので、漏れや誤りがないように正確な情報で用意するようにしましょう。すべてをそろえるためには数ヶ月必要となることも考えられますので、早い段階から動きはじめることをオススメします。
1-2. 営業所を管轄する地方運輸支局へ申請書類の提出
用意できた必要書類や申請書類は、営業所を管轄する地方運輸支局に対して提出をします。申請後に不備などが発覚してしまうと手間や時間がかかってしまいますので、精度の高い準備をおこなうようにしましょう。
1-3. 地方運輸支局と地方運輸局での審査
申請した書類をもとに、審査がはじまります。記載された内容の確認や条件をクリアしているかのチェックをはじめ、運送業を開始するに値するかどうかを審査されることになります。審査にかかる期間は、基本的には約5ヶ月です。状況次第ではそれ以上に時間がかかる可能性も考えられますので、業務開始時期に関しては、それを考慮して計算するといいでしょう。
2. 運送業許可の取得から業務開始までの流れ:受験〜運輸開始前まで
運輸支局で審査の審査が完了してから、運輸開始前までの流れは、以下のとおりとなります。
2-1. 役員法令試験の受験・ヒアリング
審査の結果、無事運送業許可申請が受理されたら、法令試験を受験することになります。これは義務付けられていることですので、必ず受験をしなければなりません。法人であれば常勤役員の内1名で、個人事業主の場合は事業主本人が対象となります。 受験の結果が不合格であっても、1度だけ再受検が可能です。しかし、2度目の受験でも不合格であった場合には、運送業許可申請を取り下げなければならなくなってしまうため、要注意です。場合によっては、試験終了後の当日にヒアリングがおこなわれることもあります。
2-2. 補正対応
審査の際に提出した書類への記載内容などに関して、追加での提出や修正などの補正対応が発生することも少なくありません。事前にいくら高い精度で準備をしたとしても、発生する可能性があります。審査を進めるためには対応をおこなわなければなりませんので、少しでも早く審査完了になるために迅速な対応が求められます。
2-3. 2度目の残高証明書提出
審査の際に必要書類として残高証明書の提出をしますが、審査が最終段階になった時点で2回目の提出を求められることがあります。これは、自己資金がその後も問題なく確保され続けているかの確認のためにおこなわれることです。万が一自己資金が条件を満たせなくなってしまっていると、審査を通過することができなくなります。
2-4. 社会保険・労働保険の加入と36協定書を労基署へ提出
営業所として、社会保険や労働保険を用意するために、加入の手続きをおこなうことになります。36協定書に関しても労働者のためにおこなうべきものとなりますので、労基署に対して提出をおこないましょう。
2-5. 運送業許可の取得・許可書交付式・登録免許税の納付
審査の結果、問題なく許可がおりたら、晴れて運送業許可の取得となります。事前に運輸支局から許可書の交付式に関する日程が通知されるため、その当日に受領することになるのです。 交付式は受領だけでなく、運送業界氏に伴い必要となる帳票や運営の注意点に関する説明がおこなわれます。受領と同時に登録免許税の納付書も渡されるため、許可の取得日から1ヶ月以内に納付を済ませましょう。
2-6. 車体表示・看板の設置
運送業をおこなう場合には、社名や屋号などを車両のボディに対して表示することになります。同時に営業所に対して、看板の設置もおこないましょう。
2-7. 運行管理者選任届と整備管理者選任届の提出
運行管理者と整備管理者は、必ず専任しなければなりません。許可書を受領してからすぐに、それぞれの選任届を提出しましょう。
3. 運送業許可の取得から業務開始までの流れ:運輸開始まで
いよいよ本格的に運輸開始目前となります。業務開始するまでの流れは、以下のとおりです。
3-1. 運輸開始前確認の提出
運輸支局に対して、運輸開始前確認の報告書類を提出します。これによって、事業用自動車等連絡書という、営業ナンバー取得のために必要となる書類を交付してもらうことが可能となります。
3-2. 事業用自動車等連絡書の交付・緑ナンバーに変更・自動車保険の加入
事業用自動車等連絡書が交付され次第、営業ナンバー(緑ナンバー)を車両に対して取り付けましょう。
3-3. 運賃料金設定届と運輸開始届の提出
運輸開始届出書と運賃料金設定届をそれぞれ提出します。運輸開始届出書は、運輸を開始する宣言のようなものです。運賃に関しては、現在は自由化されているため、各々で設定してしまっても問題はありません。
3-4. 巡回指導
適正化事業実施機関によって、巡回指導がおこなわれます。運輸開始届出書を提出後、半年以内にはおこなわれることになるのです。約1ヶ月前に書面で日程が通知される仕組みです。巡回の結果、評価が基準を下回ってしまうと行政処分の対象となるので、注意しましょう。
4. まとめ
運送業許可の取得から業務開始までの流れには、さまざまな手続きや準備が必要となります。時間もかかるため、業務開始希望時期から逆算して取り組むといいでしょう。不備があると時間がさらにかかってしまう恐れがありますので、実際には専門知識のあるプロに依頼するといいでしょう。
「株式会社マルション・アンサンブル」は、神奈川県にて個人や企業を対象としたコンサルティングをおこなっています。企業毎にニーズや状況を考慮した上で、企業や社員の方にとって最適な状態になるようなアドバイスをおこないます。産業界を中心に、豊富な知識やノウハウによってたしかな実績を積み上げているため、運送業に関しても手厚いサポートが可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。